開催案内:https://www.kwansei.ac.jp/highedu/news/detail/93
■講演要旨
「世界中を移動しながら学ぶ大学」「全ての授業がオンライン」など、派手な側面が強調されがちなミネルバ大学。実は、それらは汎用的能力を意図的に育成するためのしかけの1つにすぎません。本講演では、能力論・学習論・評価論がご専門の松下佳代教授に、ミネルバ大学がいかにして汎用的能力を育成しているかを解説いただくとともに、その視点から日本の大学教育を再検討することで、今後の指針を示していただきます。(引用元:関西学院大学HP)
■参加してみて
ミネルバ大学の教育モデルを聞いて、「汎用的能力」の育成が、最近よく耳にする「総合知」に近い考え方だと感じました。特に、オンライン授業でインプットを行い、都市での経験学習でアウトプットをするという仕組みは、とても合理的だと思います。また、約80個の「知の習慣と基本的概念(Habits of Mind and Foundational Concepts: HCs)」を軸にしたカリキュラムが体系的に設計されている点も印象的でした。
このHCsというのは、批判的思考や創造性、コミュニケーション力、協働力などを具体化したもので、それぞれが学生の能力を多面的に伸ばす仕組みになっているそうです。そして、それが授業だけでなく、都市でのプロジェクトや課外活動にも活かされている点が素晴らしいと感じました。
さらに、評価方法としてルーブリックやタイムトラベル・グレードなどを取り入れていて、自分の成長が可視化できる仕組みも興味深かったです。こうした点は、日本の大学教育にも取り入れられる可能性があるし、すでに取り入れらている大学(ディプロマ・サプリメントなどで)もあるのかなと思いました。
■参考文献
<研究論文>ミネルヴァ大学の正課教育における汎用的能力の育成 –ミネルヴァ大学生へのインタビュー調査を通して– 田中,松下
■関係書籍
ミネルバ大学の設計書 松下 佳代 (翻訳),スティーブン・M・コスリン (編集), ベン・ネルソン (編集),
ミネルバ大学を解剖する 松下佳代 (編集) 田中孝平 (著), 石田智敬 (著)他